サワガニの卵──腹に抱えたまま子ガニまで育てる
サワガニのいちばんの特徴が、ここにあります。
多くのカニとの違い
多くのカニ
卵 → 幼生(ゾエア)→ 海でプランクトンとして漂う
→ 何度も脱皮 → ようやくカニの形になる
サワガニ
卵 → 卵の中で発生が進む
→ 出てきたときには、もう小さなカニの形
→ 海に出る時期が【無い】
これを「直接発生」と呼びます。
一生を淡水で過ごせるのは、この仕組みがあるからです。
卵の数は少ない
プランクトンとして海に出るカニは、 卵を非常にたくさん産みます。
海に出るカニ … 大量に産んで、大半が食われる
サワガニ … 数が少ない。そのかわり生存率が高い
卵1つあたりが大きくなっています。
中で子ガニの形になるまで育てるので、 その分の栄養を卵に詰め込んでいるわけです。
メスが腹に抱える
・腹(ふんどし)の下に卵を抱える
・メスの腹が広いのはこのため
・脚で卵を抱え、水を送る
抱卵中のメスは、腹をめくると卵が見えます。
ですが、めくらないでください。
卵を落とす原因になります。
卵の色が変わる
発生が進むと色が変わるとされます。
産んだ直後 … 色が濃い(黄色〜オレンジ)
進むと … 暗くなっていく
→ 子ガニの目が透けて見えることがある
目が見えたら、もうすぐです。
出てきた子ガニ
・親と同じ形。小さいだけ
・しばらく親の腹の下にいる
・少しずつ離れて歩き出す
親が子を抱えて守る期間があるというのも、 カニとしては珍しいところです。
抱卵している個体を捕まえたら
戻すという選択があります。
・飼育下で子ガニを育てるのは難しい
→ 小さいので水質の変化に弱い
→ 親に食べられることがある
→ 子ガニ同士でも共食いする
・1匹持ち帰るつもりが、何十匹になる
「持ち帰るなら最後まで飼う」という前提で考えると、 抱卵個体はかなり重い選択になります。
そっと元の石の下に戻すのが、いちばん確実です。
飼育中に産んだら
分けてください。
① 親と子を分ける(共食いを避ける)
② 隠れ家を、匹数より多く用意する
③ 水を汚さない(小さいので水質に弱い)
④ 餌を細かくする
全部は育ちません。
それを前提に考えておくほうがよいでしょう。
増やしたあとを先に考える
ここがいちばん大事なところです。
✕ 増えたから川に放す
これはやってはいけません。
サワガニは川ごとに集団が分かれています。 別の川の個体を混ぜることになってしまいます。
飼いきれる数だけ育てる、と先に決めておいてください。
まとめ
- 卵から出たときには、もう小さなカニの形(直接発生)
- 多くのカニは海でプランクトンとして漂う時期を持つ。サワガニには無い
- だから一生を淡水で過ごせる
- 卵の数は少なく、1つが大きい
- メスが**腹に抱える。**だからメスの腹は広い。めくらない
- 発生が進むと**卵の色が暗くなる。**目が透けたらもうすぐ
- 抱卵個体は戻すという選択がある。育てるのは難しい
- **増えても川に放さない。**川ごとに集団が分かれている