「沢蟹」と書く理由と、学名・英語での呼び方
漢字では「沢蟹」と書きます。
なぜ「沢」なのか
沢(さわ)… 山あいの小さな流れ
→ 谷川・細流
サワガニが暮らしているのは、まさにそういう場所です。
・山あいの小さな流れ
・湧き水
・田んぼの用水路
・石がごろごろした浅い川
名前がそのまま生息場所を指しています。
海のカニでも、河口のカニでもありません。 「沢にいるカニ」という区別が、そのまま名前になっています。
「蟹」という字
蟹 … 「解」+「虫」
→ 「虫」は、昔は虫以外の小動物も含む字だった
昆虫の「虫」とは範囲が違います。
蛇(へび)、蛙(かえる)にも「虫」が入っています。
学名
サワガニの学名は Geothelphusa dehaani とされます。
Geothelphusa … 属名
dehaani … 種小名
学名は世界共通の名前です。
日本語の「サワガニ」は日本でしか通じませんが、 学名なら海外の研究者にも通じます。
ラテン語の形で書き、斜体にするのが決まりです。
英語では
対応する一語がありません。
・「freshwater crab」(淡水のカニ)と説明することが多い
・日本語をそのまま Sawagani と書く場合もある
・「Japanese freshwater crab」という書き方も見かける
「freshwater crab」は、世界の淡水ガニ全体を指す語です。
サワガニだけを指す語ではありません。
ですから正確に伝えたいなら、学名を添えるのが確実です。
地方名がある
地域によって呼び方が違います。
・ガニ
・イシガニ(石のあるところにいるから)
・カワガニ
・ヤマガニ
これは調べると面白いところです。
「その土地の人が、何に注目して名づけたか」が出ます。
沢にいる → サワガニ
石の下にいる → イシガニ
川にいる → カワガニ
山にいる → ヤマガニ
同じ生き物を、別の特徴で呼んでいるわけです。
ただし「イシガニ」は、海の別のカニの標準和名でもあります。
地方名は他の生き物と重なることがありますので、 話が通じないときは学名か「沢にいるカニ」で確認するとよいでしょう (→ 間違えやすいカニ)。
「モクズガニ」との名前の違い
サワガニ … 沢にいる
モクズガニ … ハサミに毛が生えている(藻屑=もくず)
どちらも「見た目・場所の特徴」が、そのまま名前になっています。
和名は、こういう付き方をしていることが多いものです。
名前から生き方が読める
「沢蟹」という3文字に、この生き物の条件が入っています。
沢がある = きれいな水が流れている
= 水温が上がりすぎない
= 石の下に隠れられる
飼うときに再現すべき条件も、そのまま名前が示しています。
まとめ
- 漢字は**「沢蟹」。沢=山あいの小さな流れ**
- 名前がそのまま生息場所を指している
- 「蟹」の「虫」は昆虫の虫より広い意味の字
- 学名はGeothelphusa dehaani。世界共通で通じる
- 英語に対応する一語は無い。「freshwater crab」は淡水ガニ全体を指す
- 地方名が多い。ガニ・イシガニ・カワガニ・ヤマガニ
- 地方名は他の生き物と重なることがある。通じないときは学名か「沢にいるカニ」
- 名前が、飼うときに再現すべき条件を示している